国籍が違う相続

相続のご相談

 

ご依頼の内容

外国人の相続は、どこの国の法律を適用しますか?

【詳細】
国際相続をどの国の法律で適用するかは、
大きく相続統一主義と相続分割主義という考え方に分かれています。
相続統一主義とは、
相続財産が現金や株式などの動産か不動産かに関わらず、
被相続人の本国法や住所地法を適用して解決する考え方を言います。
日本、韓国、台湾などで採用されており、相続財産が動産か不動産かに関わらず、
被相続人の本国法や住所地法が相続に関する法律となります。
相続分割主義とは、
相続に関する法律を動産と不動産に分けて、
動産については被相続人の本国法や住所地法とし、
不動産については不動産の所在地の法律を適用します。
中国、アメリカ、イギリスなどの英米法圏などで採用されており、
相続財産の種類によって法律が異なることになります。
1、被相続人が外国人であれば、被相続人の国籍がある国の法律(本国法)に基づいて相続します。
2、被相続人が外国人であれば、日本の財産をどの国の法律で相続するかは、その外国人の本国法を調べる必要があります。
3、相続財産が外国にあるときは、外国のルールで相続の手続きをおこなうことが一般的です。
例1:中国国籍の外国人が日本で死亡し、相続財産として日本国内に不動産があった場合
不動産については反致になり、日本の法律が適用されます。
ちなみに、日本で韓国の方が亡くなった場合、韓国法では、韓国法が適用なので、反致せず韓国法が適用になります。
※反致とは、日本→中国→日本のように結局日本の法律が適用されることをいいます。
例2:被相続人が日本国籍で、相続人が外国籍の場合は
原則として日本の法律(民法)が適用されます。
具体的には、日本国籍の親が亡くなって、日本国籍の長男と、帰化して米国籍となった次男が相続人の場合は、被相続人が日本国籍なので、日本の民法が適用されます。
このように、被相続人の最後の住所地または遺産所在地が日本である場合の相続問題に
ついては、原則として、被相続人の本国法が適用されることになりますが、
海外に所在する不動産の場合、被相続人の本国法が適用されるとも限りません。
なぜなら、不動産については特別に「所在地の国の法律を準拠法とする」とする
国があるからです。

担当司法書士からの一言

国際相続は、国によって違う対応をする必要があります。
日本を始めとする多くの国では、検認裁判制度はありません。
たとえば日本であれば相続人が「遺産分割協議」を行い、遺産を分割することができます。
その場合に、後の紛争を予防するため、「遺産分割協議書」を作成します。
相続人全員が署名押印した遺産分割協議書があれば、不動産の登記名義変更や
預貯金の払戻しなどの相続手続をスムーズに進められます。
しかし、アメリカやイギリスなどの国では相続手続に「検認裁判(プロベイト)」
が必要となります。
検認裁判とは、裁判所の関与のもとに遺産相続手続を進めるものです。
まずは裁判所が「人格代表者」を任命し、人格代表者が相続財産の調査や確定、
負債の支払いや税金申告等を行います。
最終的に裁判所が相続財産の分配について許可を出し、ようやく相続人らが海外資産を
受け取ることができます。
検認裁判には現地の弁護士の関与が必須になるので、
費用や時間(おおよそ1年から3年間)かかるといわれています。
この様に国際相続では、日本で行う通常の相続とは異なる手続きが多いため、
経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。

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